旅で幸運をつかむ(4)~「幸せ」とは毎日新しいことに触れること

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白血病の少年から学ぶ「幸せ」の定義

「夕焼け空を撮影する少年」の写真新型コロナウイルスの影響でこれまで当たり前と思っていたことが、実はとても有難いことだったと気付くようになりました。「有難い」とは文字通りの意味だったのです。
生きていることが当然と思っていてもいつ何時、病で倒れるかもしれないのが現実なのです。

私は、先日、フランスの劇作家 エリック=エマニュエル・シュミットのベストセラー小説『100歳の少年と12通の手紙』(阪田由美子訳)を読みましたが、これはわずか10歳で死を宣告された少年が、口は悪いが心の優しい女性と共に過ごす奇跡のような12日間をつづった作品です。

この物語は「生きるとは何か?」「幸せ」の一つの定義を教えてくれました。

『100歳の少年と12通の手紙』の物語

白血病で入院中の少年オスカーは、自分に対して本当のことを何も言わず、腫れ物を触るように扱う両親や大人たちに不信感を抱いていました。先進医療の力も及ばず、たった10歳で死を待つばかりの少年オスカーは、自分の病気について口を濁す両親や医師にいら立ち、特別扱いをされることにも飽き飽きしていました。

そんなある日、オスカーは病院にピザの配達に来ていた宅配ピザ屋の女主人ローズと廊下でぶつかり、彼に悪態をつく彼女をひと目で気に入ります。なぜなら、他の人たちは病気の彼を気にしていたずらをしても、怒りもしなければ笑いもしなかったのですが、ローズは病気の自分に遠慮する素ぶりがなかったのです。言葉は悪いが歯に衣着せない彼女の物言いにオスカーは惹かれたのです。

そして、誰とも話したがらないオスカーに主治医のデュッセルドルフは尋ねます。
「誰なら話をしてくれるのか?」
オスカーは病院でぶつかった彼女の話をして、ローズとなら話してもいいと答えます。

そして、ローズとオスカーの12日間が始まりました。最初は嫌々、仕方なくオスカーと過ごすことを承諾したローズでしたが、オスカーの元に訪れた初日、帰ろうとするローズにオスカーが「いつまで来てくれるの?」と尋ねます。

それに対し「12日間」と答えたローズ。そこで、オスカーは言葉を失います。
「僕、そんなに悪かったの?」・・・

1日を10年と考えて神様に手紙を書く

ひどく落ち込むオスカーの状況を知ったローズは、オスカーに対して「大晦日までの12日間、1日を10年と考えて毎日神様に手紙を書きなさい」と言いました。

神様など信じないと言っていたオスカーでしたが、ローズに諭されて手紙を書き始めました。ローズはその手紙を神様に届けると言って預かり、コピーを主治医のデュッセルドルフに渡すと手紙はオスカーの見ている前で風船につけて空に飛ばしました。

1日を10年と考えると、次の日には20歳。その次の日には30歳…。たった1日でも、オスカーの中では時間の流れが変わりました。思春期の17歳、オスカーは同じ病院に入院していた片思いの女の子ペギーに告白します。そして付き合うようになり、心の中で二人だけの結婚をします。

30代で浮気をしたと誤解され、離婚の危機を迎えます。そして安らかな時期を経て、70代、80代と少しずつ体の衰えを感じ始め、クリスマスの夜、両親も自分と同じように「いずれは死ぬ」という当たり前のことに気が付いたオスカーは、自分を生んでくれた両親に感謝して仲直りします。

もちろん、ここまでに要した時間はたったの数日です。しかし、1日を10年と考えただけで、退屈だった毎日に変化が生まれ、毎日違うことが起こります。自分の年齢がどんどん変わっていくと想像しただけで、起こる出来事の捉え方や世界の見え方が変わるのです。

物語の終盤、死を覚悟したオスカーは、とても幸せそうな表情を浮かべ、「昨晩、神様と出逢った」と言います。その中でオスカーの放った言葉は

「幸せ」の1つの定義

「僕分かったんだ。幸せっていうのは、毎日新しいことに触れることなんだ。

幸せの定義は人それぞれ異なりますが、オスカーが最後にたどり着いた『幸せの定義』は脳科学的にも有効です。毎日、同じことの繰り返しのように思える日常の中にも、視点を変えれば『新しいこと』を見つけることができます。

オスカーは、20代、30代、40代と違う年代を生きたことで、毎日新しい世界を見ていたのです。毎日を当たり前のように生きている私たちですが、これはとても有難いことなのです。

そこで、私たちは感謝の気持ちをもって、昨日とは違うことを毎日1個ずつでも探し、新鮮な気持ちで人生という旅を続けるべきなのです。1日10年といった新しい視点をもてば、この変化の激しい時代にも対応できるような気がします。

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