平成芭蕉の「令和の旅」指南(10)~縄文遺跡が世界文化遺産に登録される意義

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「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録

2021年7月には、嬉しいことに青森県の三内丸山遺跡をはじめとする「北海道と北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産に登録される運びとなりました。そこで、学生時代から縄文文化を学んできた私は、この縄文遺跡が世界文化遺産登録されることの意義についてお話ししたいと思います。

青森県の三内丸山遺跡

ストーンサークルと言えば、イギリスの世界遺産「ストーンヘンジ」が有名で、私は学生時代に初めて訪れて以来、ツアーでも何度か足を運びました。しかし、実は日本にも立派なストーンサークルが存在していたのです。それは、今回の世界遺産に認定される秋田県の大湯環状列石伊勢堂岱(どうたい)遺跡の環状列石です。

イギリスの世界遺産「ストーンヘンジ」

「秋田のストーンサークル」と呼ばれる配石遺構の大湯環状列石は、秋田県鹿角(かずの)市十和田大湯にあり、縄文時代後期に作られた日本最大級のストーンサークルで、野中堂環状列石万座環状列石を主体とする配石遺構です。環状列石には遺跡から東に約7キロメートル離れた安久谷川から運ばれた石が使われており、完成までには多くの人力と年月がかかったと思われます。

「秋田のストーンサークル」

そして二つの環状列石のそれぞれの中心の石と日時計状組石は一直線に並ぶような配置となっており、この直線は夏至の日没方向ともほぼ一致しています。

中心に石を立て、周囲を丸く堤で囲んだ環状列石の周囲には、建物や柱の跡なども見つかっており、土器や石器、土偶なども出土しています。祭祀に関係があるとみられる道具が多く出土していることから、この場所が重要な祭祀・儀礼の場であったことを示しています。近隣の集落の住民が数世代にわたって作り上げた、まさに聖地と言える場所だと思います。

縄文時代は「文明」ではなく「文化」

このような、縄文時代の文化遺産を訪れると、私は平山郁夫画伯の「政治や経済がいかに栄華を誇ろうと、最後に残るのは文化です。もっと文化を大切にしましょう」という言葉を思い出します。

縄文時代は今から約3000年前に幕を閉じましたが、私は縄文人の思想は数々の文化的遺伝子と共に今日の私たち日本人に受け継がれているように感じます。

縄文人の文化

縄文時代の始まりは、大陸のメソポタミア文明より古いので、「世界四大文明」に比肩する五大文明の一つではないかとも言われていますが、私は縄文とは「文明」ではなく、日本列島で生まれた日本独自の「文化」と考えます。なぜなら、文明は文字農耕技術などの物質的な所産ですが、文化は芸術的あるいは宗教的な所産だからです。

縄文文化を代表する「火焔土器」も本来の「器」の領域を超えて、縄文人の世界観や精神性を表現しているのです。文明社会では実用性を追求しますが、文化にはその時代に生きた人たちの「思い」が込められているのです。

縄文の代名詞「火焔型土器」

また、縄文時代には、竪穴住居のある「ムラ」

の周囲は「ハラ」という自然の状態であり、人工的な耕作地ではありませんでした。一方、大陸の文明においては、居住区の周囲は自然のハラではなく、人為的なノラ(野良仕事をする田畑)で、治水工事などの技術を用いて自然を克服しています。

本格的な農耕が始まる弥生時代以前の縄文文化では、自然を克服するのではなく、他の文明が体験していない自然界との共存共生が基本姿勢だったのです。

すなわち縄文人は自然との共存共生を第一に、自然に対する関心を寄せ続けて、相互の「共感」を旨としていました。しかし、大陸の文明は自然と共存することなく、絶えず自然と対決する姿勢で、ずっと自然を征服する戦いを続けてきたのです。そしてこの自然を征服し続けたなれの果てが、今日の地球温暖化などの環境破壊です。

自然と共存共生していた縄文人

このような事態は縄文人の思想にはなかったはずです。すなわち、縄文文化とは文明ではなく、限りなく日本的な観念であり、神道における日本的精神の源なのです。

それ故に、今回、日本固有の文化を伝える縄文遺跡が世界文化遺産に登録されたことの意義は大きいのです。よって、私たち日本人は、今こそ歴史を振り返り、自然と共存共生していた縄文文化に学ぶべきだと思います。

そこで、今回の「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界遺産認定されることを記念し、私は縄文文化を正しく伝えるべく、5月に出版した令和の旅指南Ⅰ『人生は旅行が9割』に引き続き、令和の旅指南Ⅱとして『縄文人からのメッセージ』を出版することにしました。

6月10日にKindle電子本として世に出しますのでご期待下さい!

「縄文人からのメッセージ」

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